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プロフィール
HN:
シロヤギ
性別:
女性
趣味:
インセンス収集、雑貨屋巡り
自己紹介:
最近の口癖は『忘れた』
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しばらくちゃんとした夢の更新が出来そうに無いので(汗)
こっちで地味に連載でもやります。連載というよりも草稿を掲載するようなもんですが。
Waqwaqのレオ夢です。結構古典的な感じかも。
あぁ、申し訳ありませんが主人公さんの名前は『セレーネ』で固定ですので。


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「お願いです防人様、どうかここから私を連れて逃げてくださいまし!」



必死で頼みこむ娘に眉一つ動かさず、防人の少年は一言、こう言った。



「断る」



たったの一言で無下にされ、先ほどまでのしおらしさとはうってかわり、
娘は怒りをこれでもかと露にする。
美しい顔もまるで般若の面に挿げ替わってしまったようだ。



「おんどりゃ、こんなに頼んどるのに断るたぁどーいうこった!?
 女なめんじゃねェエ!!」



怒り心頭の娘に防人の少年は表情を変えないまま、娘を見下ろして言う。



「村を出たことのないあんたは知らねぇだろうが、俺が来るまで村の外には
 機械がウヨウヨいたんだぜ。全部ぶっ壊したがまたすぐに寄ってくるだろうし
 ここを動かないほうが身の為・・・」

「イヤよっ!!」



少年が話している途中で、娘は金切り声をあげる。



「この村にいてもあの男・・・長に、ここに閉じ込められて暮らすことになるのよ?
 男のあんたには分からないかもしれないけど、あの男が腐った濡れ雑巾みたいな臭いのする
 くっさい息を吐きながら『セレーネ〜』って脂ぎった気色の悪い声で名前を呼ぶのよ?
 今はまだ手を出されてないけど、いつ道具みたいに弄ばれるようになるかも時間の問題・・・ そうなるくらいなら、いっそ今すぐにでも機械に食われて死ぬほうがまだましだわ!」



まるで機関銃の勢いで吐き捨てて、娘は床にばしん、と両手を叩きつけた。
身寄りのなくなった娘を強引に引き取った、村の長。
ただでさえ貧しいこの村を食い物にしている、嫌われ者。
自由になりたい。
そう思いながら、何度逃亡を企て、自分を縛りつけるあの男に阻止されたことか。
今この防人の手を借りなければ、きっと一生をがんじがらめで過ごす羽目になるだろう。
涙で目の前が滲む。
防人とは言っても、機械を退治しても人から人を守ってはくれないのか。
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